診察中に気が付きました。
私「この子、肛門の近くにしこりがありますね。」
飼主さん「えっ?どこですか?」
私「ここです。」
皆さん、わかりますか?
線で囲った部分に丸いしこりが並んであります。
触るとコリコリしたやや硬めの感触。
腫瘍の可能性があったため、細い注射用の針を刺して細胞の検査をしました。
顕微鏡でみてみると・・・
独特な形の細胞が観察されました。この形は肛門周囲腺の細胞です。
肛門の周りには肛門周囲腺という油分を分泌する組織が発達しています。
これが腫瘍化すると肛門周囲腺腫や肛門周囲腺がんと呼ばれるものになります。
男性ホルモン(エストロジェン)の影響により発生することが知られていますので、去勢手術(精巣摘出)を行うと同時に、しこりの切除も行いました。
結果は肛門周囲腺腫(良性)。しっかり取りきれていましたので治療終了となります。
この腫瘍、去勢手術を行うことにより、発生を予防できることがあります。
大きく発達してしまうと、排便を邪魔したり、便がこびりつき不衛生になることで生活の質を下げるだけでなく、悪性(ガン)であれば他の臓器に転移し命を脅かします。
もし、おうちのワンコでみつけてしまったら、すぐに病院でご相談ください。