先日の診察にて。
当院で治療中の黒ネコちゃん、今日は抗がん剤投与の日です。
この黒猫ちゃんの病名はリンパ腫、犬や猫の悪性造血系腫瘍(血液の細胞のがん)の一種です。
現在、このリンパ腫と闘っており、抗がん剤治療中なのです。
抗がん剤といえば、副作用がつらい治療というイメージがあります。皆さんが考えている通り、副作用の無い抗がん剤はありません。
ただし、人間と動物の抗がん剤の使い方には違いがあります。
人間に抗がん剤を投与する時は、がんを徹底的にやっつけるのが目標になるため、投与量も多くなり、そのぶん副作用もより強くなるので、何日も入院して治療を行うことがあります。
イヌやネコに抗がん剤を投与する時は、できるだけお家で過ごす時間を増やすのが目標になるため、がんと闘える効果があり、かつ副作用ができるだけ少なくなるような投与量で使います(もちろん副作用が無いわけではありません)。
この黒ネコちゃん、初めの1週間は抗がん剤が効きだすまでは何度も胸の中に水(胸水)が貯まり、呼吸が辛そうな時期が続きました。
胸水から得られた細胞を顕微鏡で検査すると、悪性所見の強いリンパ芽球が多数認められていました。
2週目の抗がん剤の後、がんは確認できないほど小さくなり、胸水も無くなり、いつも通りの元気や食欲を取り戻しました。
今日は5週目の抗がん剤投与の日だったのです。
注射が終わってほっと一息、がんばったね。